2015年9月26日

plan-B 定期上映会

下層のアナキズム
講演 / 栗原康 (大学非常勤講師/アナキズム研究)

1918年、米騒動がおこった。のべ人数1000万人。未曾有の大暴動である。大正時代のアナキスト、大杉栄はこの暴動を大阪釜ヶ崎で目撃している。やばい、すごい。テンションのあがった大杉は、小躍りして群集をあおり、そしてこういった。「市民」がみずからの殻をつきやぶり、ゼロになってみずからの生をいきなおそうとしていると。
およそこの資本主義社会では、しあわせな家庭を築き、そのために充分なカネをかせぐことがもとめられている。それをいやがったり、うまくできなかったりすれば、人間じゃないようなあつかいをうける。そしてきまってこういわれるのだ。汝、「市民」になりたまえ。
でも、大杉はいう。ひとがどう生きようとひとの勝手だ。いやなら好きに生きればいいんだし、うまくいかずに虐げられているのであれば、それは「市民」とはちがう生きかたをしているというだけのことだ。その感覚を武器にしてたちあがればいい。みずからの抑圧された存在状況を武器にせよ。オレ、ろくでなし。無数のろくでなしたちが「市民社会」に亀裂をひきおこす。下層のアナキズム。これはいま現在にもつうじることだろうか。そんなことをお話しできたらとおもっている。

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