2014年2月8日

plan-B 定期上映会

「ヒミツのはなし」
講演 / 渡邊太
(国際脱落者組合/大阪国際大学教員)

ポスト小泉体制として出発した第一次安倍政権は「美しい国」をスローガンとしたが、民主党から政権を奪取した第二次政権のスローガ ンは「日本を取り戻す」である。「美しい国」にせよ「日本を取り戻す」にせよ、何をもって「美しい」と言うのか、取り戻したいのはどのような「日本」であ るのか、あいまいで何とでも言える。だが、「美しい国」という名詞形から「日本を取り戻す」という動詞形への変化は見逃せない。「取り戻す」の主語は何な のか。主体は誰なのか。
この間、特定秘密保護法案が迅速に可決された。9月に法案が公表されて2週間のうちに約9万件のパブリックコメント(8割近くが反対意見)を集めたにも かかわらず、10月に衆院可決、12月に参院可決。このスピード感。もはや「日本を取り戻す」ために大衆的合意は必要としないかのようである。自民党幹事 長は法案に反対するデモを「テロと本質的に変わらない」と述べた。
「特定秘密」のターゲットは防衛、外交、テロ等とされるが、原子力エネルギー、沖縄の米軍基地、TPP交渉、等々「ヒミツ」にしたいことには事欠かない。その先には、「公の秩序」を基本的人権に優先させる自民党憲法改正草案も待ち構えている。
2020年「東京オリンピック」開催が決まり、大阪では「道頓堀プール」の実現が目指されている。都市再開発と零細窮民の排除といういつもの光景がくり 返されるのは明らかだ。「儲からなければ文化ではない」(堺屋太一)だと? 文化をなめるな。うんざりしつつも、ヒミツに包囲された生活空間を社会復帰さ せるために何を共謀すべきか、考えたい。

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