plan-B 定期上映会
「新宿ダンボール村」の日々
講演 / 迫川尚子(写真家、新宿ベルク副店長)
ほんの15年ほど前、新宿駅西口地下に「ダンボール村」があった。「ホームレス」と呼ばれる者たちが寄りつどい、工夫を重ねてダンボールハウスという 「ホーム」を次々と立ち上げて、ひとつのコミュニティをつくっていたのだ。それに寄り添った支援者によると、その期間は1996年1月24日から98年2 月7日までの約2年間。──このふたつの日付にはそれぞれ重要な意味がある。ひとつは、それまであった西口広場から都庁に通じる地下通路のダンボールハウ スが都によって強制撤去された日。そしてもうひとつは「ハウス内からの失火」によって住民4名が焼死した日だ。
わずか2年余という「短い」期間ではあったが、しかしこのコミュニティには濃密な時間が流れていた。それまでバラバラにされ、見えない存在とされていた 「ホームレス」たちが、若いアーティストが描く色彩とともに鮮やかに姿をみせ、「生きることが闘い」であることを人びとの目にはっきりと焼きつけのだ。そ の「闘い」は、いまもそこかしこで続いている。
今回の上映では、この5月に写真集『新宿ダンボール村』を上梓した迫川尚子さんに、同時代としてのダンボール村を語っていただく。