天皇制の「経営学」
──格差社会のなかの特権・差別構造
桜井大子(『反天ジャーナル』編集委員会、女性と天皇制研究会)
単純な比較をしてみよう。天皇制の維持経費は、皇室費に宮内庁・皇宮警察費を足して年265億円を超える。皇族は天皇(前・現)家の2世帯5人、その他4世帯12人だから合計17人。たった17人のための出費だ。ちなみに天皇・上皇ら5人の生活費は3億2400万円。仮に頭割りにすると一人6480万円。総理大臣の年収は約4000万円だからそれを超える。いま話題の秋篠宮家は4人で1億1895万円。もちろん原資は全部、税金だ。
一方、その税金を払っている者たちはどうなってるのか? 政府は、最低賃金の全国平均を1054円に上げたと自慢している。だがこの賃金で身を粉にして働いても年に200万円に届くかどうかだ。もちろんこれはフルタイムの場合で、非正規労働者たちの多くは、実際にはこれ以上の貧困にさらされている。──これは絶対にヘンだ。
天皇制は、端的にいえば「天皇」ひとりを作りだすために維持され、管理・運営される制度だ。皇族の枠はそのために配置されている。政府は今年、天皇の再生産を安定化させるために、皇族の数の確保という方策を提出した。男性の皇族を増やしたり、女性皇族の結婚後の身分を保証するなどの案だ。これもまた天皇をめぐる「経営学」のひとつだろう。
今回の〈ミニトーク〉では、反天皇制を中心に持続的な運動を続けている桜井大子さんを招いて、最近の政府の動向や、社会の受け止めかたなどのお話を聞きます。あらゆる角度から徹底的に天皇制を批判していきたいと思ってます。ぜひ、ご参集のほどを。