2008年3月15日

plan-B 定期上映会

上映後の講演:都市のこわれかた──①北京 「農民工」のなかから
講師:孫 歌(sun ge : 探求者)

『山谷』の視線から学んだこと
激しく発展している中国をどう見るか。中国の打工者をどう思うか。格差、安い賃金、厳しい労働条件、都市の市民権が得られない「二等国民」…… そしてこのような打工者は、国境を越えて日本にも進出して日本労働者との競争に強いられているのだ。
その一方、中国では、ひどい汚染を伴う大量な「違法産業」、農地の廃置や食料安全の破壊など、いわば近代過程のつき物も後を絶たせない。
今日の世界は、資本の論理で作られている。国家権力、警察システム、法律の「中立」は、いずれもその論理を免れない。暴力団の暴行はどの社会においてもこのようなシステムの本質を象徴している。
『山谷』は、このような矛盾を濃縮して見せてくれた。鮮烈な形で差別の構造を顕にしたこの傑作は、日本社会に内在している病を暴露することに止まらず、グローバル化の中で、先進国の日本と途上国の中国の間、すでに現れている新たな差別構造をも暗示しているのだ。
そしてわれわれは、山谷の労働者から、佐藤、山岡両監督のまなざしから、いったい何が得られるのであろうか。

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