2023年12月3日

寺島珠雄と「労務者渡世」をめぐって

前田年昭(調理補助パート労働者、元「労務者渡世」編集委員会代表)

 今回のミニトークのテーマは「寺島珠雄」です。寺島珠雄はアナキズム詩人。1925年東京生まれ、千葉で育つ。戦後、土工や鉄筋工などの肉体労働をしながら山谷などを流動し、66年以降、大阪・釜ヶ崎に移り住んだ寄り場の大先輩です。73年、「新日本文学」2月・5月号に寺島編「釜ヶ崎語彙集(抄)」を掲載(この「語彙集」の完成版は寺島の死後、2013年に新宿書房から上梓された)。74年、月刊の雑誌「労務者渡世」の創刊に参加する。「労務者渡世」は76年に16号分がまとめられ、風媒社から単行本『労務者渡世──釜ヶ崎通信』として刊行された。
 寺島はまたアナキズム詩史に通じ、『時代の底から 岡本潤戦中戦後日記』、『小野十三郎著作集』全三巻などを編集。著書も多数で、詩集『まだ生きている』『わがテロル考』『あとでみる地図』ほか、自伝『どぶねずみの歌 廻転し、廻転する者の記録』、『釜ヶ崎 旅の宿りの長いまち』『アナキズムのうちそとで わが詩人考』他、がある。1999年、『南天堂 松岡虎王麿の大正・昭和』の出版間際に死去した。
 今回、お話くださるのは、当時の釜共闘(暴力手配師追放釜ヶ崎共闘会議)メンバーで、寺島さんと「労務者渡世」を一緒につくった前田年昭さん。前田さんは新宿書房版『釜ヶ崎語彙集1972-1973』の編集者でもある。

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