〈脱走する主体〉へ
──ソウル・プレカリアート運動の歴史的形成
トーク : Didi (人文地理・都市研究)
今回は韓国・ソウルからDidiさんを招いてお話を聞きます。
Didiさんは、2017年の末に山谷を訪れて以来、山谷の運動と併走しながら、先鋭的な研究を続けてきている。それは、「東京とソウルのプレカリアート運動の歴史的形成過程と、その運動の中で作られた都市的コモンズについての比較研究」(今年の1月に刊行された、Didi・他〈監訳〉『被害と加害のフェミニズム』のプロフィール紹介より)という魅惑的なものだ。
今回は私たちの要請に応じて、ソウルの運動に重点を置いた報告をしていただく。おもに「1960年代と1970年代のソウルの 〈月の村〉の形成と、その中で作られた都市住民運動が、現在のプレカリアート運動にどうつながっているのか」を話していただきます。
〈月の村(タルトンネ)〉とは、60年代初頭からの、韓国の急速な近代化の中で、都市部に人が急激に流入して形作られた〈貧民街〉だ。都市の下層民が生み出した闘いが、今の新自由主義の時代にどう息づいているのか? そして、新しい世紀のプレカリアート運動が持っている可能性は、どこに向かっているのかを探ります。